2020年第2四半期の世界の読者エンゲージメント動向

By NICK LIOUDIS

6月30日に終了した四半期の最新分析では、世界的なパンデミックの影響で読者のエンゲージメントが大幅に上昇しました。世界中で、エンゲージ時間と流入の増加が見られましたが、パブリッシャーにとっての課題は、増加したサイト訪問をロイヤル読者につなげることでした(そして今後もそうです)。

以下、Chartbeatの最新調査結果と、それがコンテンツ制作者にとってどのような意味を持つのかをご紹介します。

過去のインサイトと比較してみる|2020年第1四半期

アフリカではエンゲージメント時間の上昇が続く

アフリカの読者は、コンテンツへの接触が増加しており、この四半期のエンゲージメント時間は平均35.1秒に達していることが、Chartbeatのデータで明らかになりました。これは、第1四半期の33秒、2019年最終四半期の31秒から上昇しています。

意外と知られていませんが、ラテンアメリカの読者は依然としてエンゲージメントの優位性を保っており、この四半期のエンゲージメント時間は平均36.3秒です。平均エンゲージメントが最も高い地域として4半期連続となり、2019年に見た上昇傾向を継続しています。

欧州の読者エンゲージメントは前四半期比で引き続き低い水準にあり、中・東欧の読者の平均エンゲージ時間は28.8秒、北欧の読者の平均エンゲージ時間は29.3秒となっています。しかし、以下で詳しく説明するように、これは読者のロイヤルティに影響を与えているようには見えません。

世界中のエンゲージメントは依然として高い水準にあり、これはコロナウイルス関連記事の読者数に関する最近のデータと一致しています。また、Chartbeatのデータによると、少なくとも15秒間コンテンツに接触した読者の方が再訪問するようになる可能性が高いことも注目に値します。

モバイル流入は世界的に増加

モバイルデバイスでの外部流入が世界的に増加し、中央アジアの読者の87%がモバイル経由でコンテンツに触れていることにも注目です(前四半期から10%増)。前述のとおり、世界的なパンデミックに関連したエンゲージメントが、あらゆるデバイスで流入の原動力となっていることがわかりました。

アフリカのモバイル流入も同様に増加し、前四半期の80%から83%となりましたが、その他の地域のデータでは、第1四半期と比較して1%から2%の範囲で緩やかに増加しました。

中央アジア、中東では検索流入が増加

中央アジアの読者も検索流入が33%から38%へと顕著に増加しました。中近東の読者は、26%から29%に上昇し、2番目に多くの流入をもたらしました。

読者行動の知見をもとに、これらの地域では、検索サイトで情報を求める傾向が強まっていることがわかります。

東南アジアのソーシャル流入は引き続き他の地域よりはるかに多い

東南アジアの読者の注目を集めたいと考えているパブリッシャーは、ソーシャルメディアプラットフォームを中心とした戦略を検討してもよいでしょう。トラフィックの76%がモバイルデバイスからの流入です。併せて、このデータは、モバイルファーストのソーシャルプラットフォームで読者との接触を試みる、説得力ある理由を示唆しています。

ソーシャルトラフィック由来の流入で次に多かったのは、アフリカの25%です。前四半期から3%の増加となりました。その他の地域では、以前の分析と比較して、一桁または横ばいの成長でした。

アジアではロイヤリティが低下、欧州では高水準を維持

アジア全域の読者は、検索とソーシャルから大量のトラフィックが流入していますが、パブリッシャーは、我々のロイヤルティ※のデータが示すように、継続的な再訪問に結びつけられていません。

(関連する記事: コンテンツ掲載チャネルが読者のロイヤルティをどのように高めるか。デバイス間での調査結果

中央アジアと東南アジアの読者のうち、ロイヤル読者はわずか18%と19%で、それぞれ24%と21%から減少しています。これをヨーロッパと比較すると、北、中、東、南の各地域の読者はそれぞれ48%、40%、39%をロイヤル読者と分類しています。これらの数字は、前四半期と比較して、すべて上昇しているか維持しています。

ロイヤル読者とは、2週間のうちに少なくとも半分の日数以上サイトを再訪問する読者のことです。

グローバルなオーディエンスのエンゲージメント。第2四半期の分析から得られたポイント

この四半期の読者データ分析から、いくつかのポイントをご紹介します。

エンゲージメントは平均的に上昇

平均エンゲージメント時間と流入の数値は世界中で上昇しており、コロナウイルス記事と非コロナウイルス記事のエンゲージメントの傾向と一致しています。しかし、以下で強調するように、パブリッシャーが長期的に読者を囲い込むのなら、回遊と記事ページごとの最適化を検討すべきでしょう。

ロイヤルティは低下

ソーシャルメディアのような重要なチャネルを通じて読者をサイトに引きつけることは依然として重要です。しかし、読者がサイトに滞在し、より深く読み、再訪問してもらうには、さらに多くのことを行う必要があります(包括的な回遊戦略など)。

コロナウイルスが読者に与える影響

前四半期を「嵐の前の静けさ」と表現しました。コロナウイルスのデータは、トラフィックとエンゲージメントがかつてないレベルで上昇していることを物語っています。しかし、読者のエンゲージメントが大幅に増加したことで、ロイヤルティの向上、そして最終的には読者の収益機会につながるかどうかを明確に把握するには、さらに数四半期かかるでしょう。

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